不安と安心の間を目指そう
不安がまったくない=安心というのは、実は難しいものです。
たとえば、健康情報の番組を見て「この病気になったらどうしよう」とか会社や出先で「傘を持たずに来たけど空が大分曇ってきた。帰りに雨が降ったらどうしよう」とか、遠くや近くの未来について不安を覚えてしまうことがあると思います。
その不安を解消するために、保険に入るとか、検診を受けるとか、傘を買うとか、早めに帰るとかの行動を生み出します。
「人間は誰でも不安や恐怖を克服して安心を得るために生きる」
という名言があります。
「人間は誰でも不安や恐怖を克服して安心を得るために生きる」
名声を手に入れたり人を支配したり
金もうけをするのも安心するためだ結婚したり友人を
つくったりするのも安心するためだ人のため役立つだとか愛と平和のためにだとか
すべて自分を安心させるためだ
安心を求める事こそ人間の目的だ
(ジョジョの奇妙な冒険 Part3 スターダストクルセイダーズ)
人間をやめたから人間と云うものを客観視できたのか何なのかはおいておくとして、
このセリフを発しているDIOは、ずっと安心できないで暮らしていました。
生まれは貧しく父親は酒浸りで、暴力や餓死と隣り合わせでした。あるきっかけで最初の主人公ジョナサンの家の養子となってからは、大学で学んで弁護士を目指したり表面上ではあるものの友人をつくったりと社会的な名声を構築していきます。
その裏で進めていた野望をジョナサンに打ち砕かれ、DIOは一度眠りにつき、Part3の主人公承太郎の時代に復活して、彼らを待ち受けるわけです。
彼の人生は人間にはまねできないですが、人間時代の彼が感じていたであろう不安や恐怖は、多くの人と共通したものだと思います。
名声を手に入れるとか人を支配する(人を動かす立場に出世するなど)とか金儲けをするという望みを持つ人は多いでしょう。世のため人のためと言っても、自分が生活できなければどうしようもありません。私欲のために行ったことが社会に貢献したとしたら、それをアピールしてイメージアップを図るくらい図太いほうが会社としてやっていけると思います。
結婚や友人づきあいなどの人とのつながりは孤独になることに恐怖する人には必須の行動でしょう。周りに急かされて結婚しても、長いことうまく生活している(ように見える)として、愛の有無よりもその生活を続けることが大事になったから別れないのかもしれません。
今回は、不安を取り除かなくてもいい場合がある・そもそもそこまで安心を求めなくても十分だという記事です。
直接的・具体的な要因からくる不安
昔の人やへき地に住む人のような文明圏の外にいる人や、幼少期のDIOのような貧しい人のもつ不安は直接的に生命の危機への恐怖でしょう。
- 着るものがない・破れていたり足りなくて、寒さや日差しから身を守れない
- 食べ物が見つからない・入手できなくて餓死するかもしれない
- 家(身を守れる場所・落ち着いて眠れる)がなくて風雨や野生動物に命を奪われるかもしれない
究極的にはおそらく上のような衣食住の不備に行きつくように思えます。お金というシステムが生まれると、お金が衣食住を満たすために必要になってくるので、お金がない不安が生まれるのでしょう。
- (最低限の)お金がなくて、必要な衣服・食べ物・住むところ(の購入・補修・賃貸など)が手に入らない
この最低限を満たしていない人は、インターネットでこうやってネットサーフィンとかしている人の中には少ない(過去には少なかった)はずです。少なくとも、ネットを自由に使える環境を構築した時点では上の4つの恐怖はなかったのではないでしょうか。そうでない人は先に衣食住を満たせよと申し上げたい。
まずは、この最低限を満たしている=命を即失う危険はない状態であることに少しの安心をしてもよいのではないかと思います。満たせない場合はとにかく市役所に飛び込んで相談しまくることをお勧めしたいです。
このブログを始めた当初の私は最初この辺りにいるものだと思っていました。今思えばもっと安心していいレベルです。発端となった預金額発覚時点でさえ、持っているもの(部屋にある私物など)を失っていないからです。
間接的・抽象的な要因からくる不安は多少残ってもいい
上のような、命に直結するあるいは結びつきが強い不安以外は、言い変えれば、人によっては放っておくとか無視できる、あるいはそもそも不安に思わないかもしれない物だと思います。そうでなくても、明確に「こうするのが正しい」という答えがないのではないでしょうか。
衣食住(贅沢や浪費、あるいはそもそも要らないかも)
たとえば、
- 今着ているこの服何年も前買ったものだしダサいかな?
- 記念日なのに外食や変わったものを用意できなくて情けない
- 周りの同僚は一軒家を買っているけど俺は賃貸や実家暮らしなのはもしかして社会的にダメな男なんじゃね
というような悩みや不安です。
おそらく今の人の悩みの多くは、こういうある意味どうでもいい不安であると言えるのではないでしょうか。
極端な話、ダサい服でも身を守れますし、トレーニングや体の管理のために毎日同じメニューを食べる人もいます。不定期に転勤するとか変化を求める性質のためにあえて賃貸にしか住まない人もいますよね。
しかし、「そんなの気にするな」で済んだら世の中こんなに不安やストレスをとる情報や生き方を変える本があふれかえったりしないはずです。
そこで、自分がどの程度なら不安にならないかを探ることをお勧めします。
数年前のだからダサい服かな?という不安を例にとります。
まず、自分が最低限妥協してここまでなら耐えられるというラインを設けます。
・服としての機能が損なわれなければいい
・道を歩いていて人に指をさされなければいい
・清潔であればいい
・今売っている服のマネキンの横に並んで違和感がなければいい
・今売られていてもおかしくなければいい
・流行のアイテムと組み合わせて違和感がなければいい
・今シーズンの流行と大きく外れなければいい
・できれば今シーズンの流行のものが着たい
・流行にある程度乗ってなきゃ嫌だ
・ファッションに敏感な人から見てダサいと思われないならOK
下に行くほど、願望の度合いが強くなり、難易度が上がります。
ちなみに私のラインは「指をさされなければいい」なのですが、指をさされるような経験は一度しかありません。
もらい物のギャルっぽいショート丈のスカートをはいていて、動作によってはパンツが見えていたらしくそれで親子連れの子どもの方に指をさされました。すぐに服屋を探してスカートだけ買って着替えていき帰宅したらすぐに同じ丈のパンツやスカート数枚を全部捨てました。
着ようかとか捨てようかとか、悩むような服は着てみればいいです。それで適当に散歩に出て、近所のスーパーにでも入ってぐるっと回ってみればいいのです。それで何事もなければ、「別にダサくも何ともなかったな」で済み、不安を感じにくくなります。
食や住も自分が不安にならないラインを探っていきます。すると、
・普段の食事のグレードを上げて、特別な日でも関係なく食べることにしよう
・普段の食事のグレードは下げて、特別なときだけ美味しいものを食べに行こう
・普段の食事の内容には不満はないけどなんか満足できてないみたいだ。とり方を変えてみようかな
と不安や不満の原因や対処法が分かるようになると思います。
・一軒家に住んでも、勤務時間の都合で自治会とか出られないし、帰りが遅くて食って寝るだけの生活にはむしろもったいないな
・子供が小さいとマンションやアパートは周りに迷惑をかけやすいし、伸び伸び運動させたいから広い家がいいとは思うんだよな。結婚するときに夫婦で話し合って決めよう
・そもそも情けないと言ってくるのは特定の上司だけだし気にしなくていいや
・情けないとは思わないけど、同僚に馬鹿にされるのは嫌だな
・ローンを返していく方が大変だし、今の俺には買わないほうがいいかも
など、自分でどうするか考えやすくなるはずです。
家は大きな買い物だし住む場所によって環境が大きく変わることなので不安が多少は残ると思います。でも、普段に着る服を買うことに関しては、完全に本人の基準で決めてしまっていいと思います。
お金があるだけじゃ不安は消えない
年収と幸福度がずっと比例関係ではないというのは、ある程度資産形成などに興味のある人には知られているようです。
つまり、命に直結するような(家賃やら電気代やらなにやらと社会保険料が払えない)状態でなければ、あとは本人次第と言えます。
数億稼ぐ人でも、悪い人が寄ってくるからとずっと警戒しっぱなしで生きていれば不安しかないでしょう。
事業が当たって財産を築いた人なら、当たり続けるのは難しいと理解しているでしょう。次の事業をどんどん考えて実行に移していくことになり、安心した状態は長くないと思います。
宝くじに当たった人が不幸になる話の本がベストセラーになったことがあるくらいなので、『酸っぱいぶどう』的な嫉妬を別にしても、大金=安心ではないということをうすうす感づいている人は少なくないのかもしれません。
先の衣食住の不安を覚えないラインを決めないでいると、どんどん満足を求めて難易度を上げて行ってしまいます。
年収の平均値や中央値は上の記事の幸福度のピークの値よりも少ないので、たいていの人は、ラインを動かした結果生活の維持だけでお金が無くなってしまいます。
自分のラインを見定め、維持することが大切です。先の「同僚が言うから」「人がダサいと言う」など他人のラインに重点を置いてしまうと、たとえ自分は本当は不安でも何でもないはずなのに、「(不安の少ない状態から)から外れている→不安になってしまうということが起きるわけです。
どうしても人と比べてしまうなら、
・借金(ローン含む)のある世帯は単身世帯の17.6%、二人以上世帯の42.9%
・借入金残高の平均額は、単身世帯では513万円、二人以上世帯では1,609万円
だそうなので、借金がないことや、借入額が平均より少ない人はそれで安心してみるのはどうでしょう。低レベルだとかゲスかったりするかもしれませんがそれでも良いという人はどうそ。
本題とはあまり関係ないですが、家や車や、災害などからの立て直しじゃなくて、日常生活や、旅行を理由とした借金も意外にあるんですね……。我が家は祖母や父が異様に借金やローンを嫌うので、私にはよくある家や車くらいしかローンを使うイメージがないです。
実は不安になる必要はなかったかも、と考える
上の借金の有無で下を見るというのは一部の人向けという感じですし、何でも下には下がいるという解消法になってしまうと、裏返って上には上が居るから不安となっても困ります。
でも、先のようなダサい服だとかの些細なことから来ている不安は少なくないでしょう。もちろん無視できれば楽ですが、無視できないとか不安が残る場合は自分の不安のラインを見定めて納得するほうが同じ不安を抱え続けなくて済むと思います。
人付き合いも、知り合いや友人が何人いると良いとか、こういう付き合い方が良いと優劣が決まっているわけではありませんよね。
満足できることを一つ以上用意する
生活を切り詰めたり、あれこれ判断するのは脳が疲れます。そこで、ラインを見定めるのとは別に、自分はこれが出来たら楽しい・幸せだということを持っておくことをおすすめします。
すごい趣味でなくていいし、無理やり続けなくてもいいです。
- 好きな俳優が出てる番組をおっかける
- ツイッターやインスタグラムやYouTubeで、可愛い動物の映像を毎日1つは見る
- 外国の料理を作ったり食べに行ったりする
- バズルゲームや手芸など作業に没頭する時間を作る
- 近所で見かけた花や鳥について調べてみる
- 様々なジャンルの音楽を聴いて、自分がいいとおもうジャンルを聴きまくる
- あえて古いハードのゲーム機のソフトで遊ぶ
自分がやってみて楽しかったり、集中していつの間にか時間が過ぎていたというものを続けてみてください。
人間が何もしないと不安になるのは、それだけ人類がいろいろ脅かされてきたから周りを警戒しているという話があるそうです。どんなに満たされた生活をしていても、それが全く変化しないということはないので、不安にならない人生というのはありえないことなのかもしれません。
それなら、余計に、不安ばかりに注意を向けるのはやめたいものですし、完璧に不安の無い状態(安心)をむやみに求めないようにしたいです。